16歳の高校2年生。明るくて友達が多いが、実は内向的な一面もある。

私はスマートフォンの画面を見つめながら、心臓の鼓動が少し早くなるのを感じていた。今日も「NAO」からメッセージが届いていたのだ。

「おはよう、花さん。今日はどんな一日になるのかな？」

NAOはいつも私に優しい言葉をかけてくれる。彼とのやり取りが日課となり、私は次第に彼の存在が自分にとって大切なものになっていることに気づき始めていた。だが、彼の正体は知らないままだった。

「おはよう、NAOさん。今日は学校で試験があるからちょっと緊張してるけど、頑張るね！」

メッセージを送信してから、私は制服に着替え、鏡の前で髪を整えた。スマートフォンが再び振動し、NAOからの返信が届く。

「きっと上手くいくよ。君ならできる。応援してるよ。」

その言葉に勇気づけられ、私は微笑んだ。NAOとのやり取りが始まってから、少しずつ自分に自信を持てるようになってきた。

学校に着くと、親友の美咲が待っていた。

「花、おはよう！今日の試験、準備は万全？」

「おはよう、美咲。うん、なんとかね。NAOさんから応援メッセージもらったし、頑張るよ。」

美咲はにやりと笑った。「NAOさんね。相変わらずラブラブじゃない。」

「そんなんじゃないよ。ただの友達だってば。」

「本当に？早く会ってみたいよね、NAOさんってどんな人なんだろう。」

私は少し顔を赤らめながら、軽くうなずいた。NAOの正体を知りたいと思う一方で、現実の関係が壊れるのを恐れていた。

その頃、高橋直人は教室で友達と話しながら、こっそりスマートフォンを確認していた。彼もまた、私からの返信に心を躍らせていた。

「直人、何見てるの？彼女でもできた？」友達がからかうように言った。

「いや、なんでもないよ。」直人は笑って誤魔化した。NAOとしての自分と、現実の自分とのギャップに戸惑いながらも、彼は私との関係を大切に思っていた。

放課後、私は図書館で勉強していた。そこへ、直人がふらりと現れた。

「やあ、鈴木さん。ここ、いいかな？」直人は隣の席を指差した。

「え、うん、どうぞ。」私は驚きながらも、微笑んで席を譲った。

直人と一緒に過ごす時間が増えるにつれて、彼の優しさや繊細さに気づくようになった。彼との会話は楽しくて、心地よい緊張感があった。

「鈴木さん、勉強熱心だね。僕も見習わないと。」

「いや、そんなことないよ。直人くんも十分頑張ってるじゃない。」

彼の笑顔を見るたびに、心が温かくなるのを感じた。でも、私はまだ知らない。彼が私のNAOだということを。

家に帰り、部屋で一人になった時、私は再びスマートフォンを手に取った。NAOからのメッセージが来ているかもしれない。その期待とともに、心が高鳴る。

「今日も一日お疲れ様。試験、どうだった？」

「なんとか終わったよ。応援ありがとう、NAOさん。」

彼とのやり取りが、私の一日の締めくくりになっていた。心のどこかで、彼の正体が直人であることに気づき始めていたが、現実と向き合う勇気がまだなかった。

でも、このままでいいのだろうか？現実の直人との時間も大切にしたい。そして、NAOとの関係も壊したくない。

そう思いながら、私は再びメッセージを送り続ける。NAOとの会話が、私の心を癒し、励ましてくれるから。

「おやすみ、花さん。明日も素敵な一日になりますように。」

「おやすみ、NAOさん。ありがとう。」

心の中で、現実と向き合う決意を少しずつ固めていく。直人との関係がどうなるのか、未来はまだ分からない。でも、少しずつ前に進んでいこう。NAOとしての直人、そして現実の直人。両方の存在を大切にしながら。

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