「研修の軌跡 - 夏子との出会いから始まる一途な関心」
初めて彼女と会ったのは、ある研修の初日だった。僕は部署が違うので、彼女のことは名前と顔だけ知っていた。9歳も年下だということが、何となく気になっていた。彼女は笑顔で挨拶をしてくれたが、その笑顔には何か不安定なものを感じた。
「こんにちは、私、夏子と申します。よろしくお願いします。」
彼女の名前を聞いて、少し緊張が和らいだ。彼女は自然体で話す姿に、少しだけ安心した。
「はい、こちらこそよろしくお願いします。夏子さんはこの会社でどのくらいお勤めなんですか?」
「2年目になります。まだまだ分からないことばかりですが、頑張っています!」
その率直な言葉に、僕も笑顔で応えた。その後、彼女との間には何気ない会話が続いた。彼女は仕事のことや趣味のことを話してくれ、どこか明るくて親しみやすい存在だった。
研修の休憩中、彼女が何かを探しているのを見かけた。
「夏子さん、何かお探しですか?」
「あ、はい。水筒を持ってきたはずなのに、どこかに置いてきてしまったみたいで…」
「そうですか。一緒に探しましょうか?」
彼女は微笑んで頷いた。一緒に散策するうちに、少しずつ彼女のことが分かってきた気がした。彼女は意外にもスポーツが得意で、休憩中にはフットサルの話題で盛り上がったりした。その明るさに、僕も自然と笑顔が増えていた。
研修が進むにつれて、彼女との会話は深まっていった。彼女が将来の夢や仕事に対する意気込みを語る姿に、僕は尊敬の念すら抱いていた。一方で、彼女の表情の微妙な変化にも気づいていた。時には少し沈んだ表情を見せたり、会話が途切れることがあった。
「夏子さん、何か心配事でも?」
彼女は一瞬戸惑ったような表情を見せた後、笑顔で答えた。
「いえ、大丈夫です。ちょっとしたことです。」
しかし、その後も彼女の心に何かがあることを感じていた。
研修が終わり、それぞれの部署に戻った後も、彼女とはたまに顔を合わせることがあった。会話もあるが、彼女の中にはまだ僕が知らない世界が広がっているのだろうか。彼女がどんなことに興味を持ち、どんな風に仕事に取り組んでいるのか、それを知りたいという気持ちが、少しずつ心に芽生え始めた。
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